重い。身体が物凄く重くなった。
この感情を今のうちに書き残しておきたい。
蜷の綿の稽古。
蜷川さん。
彩の国の劇場。
ここは僕が生まれ育った場所。原点だ。
ここに来るのが好きじゃなかった。
先輩たちは怖いし、蜷川さんももちろん怖いし、そして自分も今ほど本気じゃなかったんだな。
本気の振りをしていた。
生きること。感じること。
蜷川さんの死は長いこと許せなかった。
見ないようにしていた。
そして、少しだけ大きくなった自分が再びここに帰ってきて、前よりもだいぶ自由に景色を見渡せるようになって、なんて・・・
僕は18の頃からここにいた。
自分の演劇の原点を作っているものは間違いなくここだ。
生意気な十代の頃があり、本気になり始めた二十代の初めがあり、そして今がある。
ここに来ると、悔しさで溢れてくる。
相変わらず先輩たちの背中は大きいし、あの時間はもう戻ってこない。
一瞬、、ではなかったけれど、あの時間の思い出が、あの時間でやりきれなかった事が、とてもとても大きくて、重要で、偉大な瞬間だったんだと痛感する。
その時間はもう戻らないって分かっているからこそ、この悔しさが一生膨れ上がる。
だから僕は今になって生き急いでいるのか。
だけどその生き急いでいることは僕にとって全然苦痛じゃなくて、むしろ最高に楽しいんだ。
あと半月この劇場に通い続ける。
この半月は、少し大人になった冷静な目で、下を向いて歩いていた頃の自分を思い出しながら、あの頃の自分をちゃんと連れて、これからの戦いに備えよう。
さて、今から『誰が為に鐘が鳴るなり法隆寺』の稽古だ。
誰が為に・・・鐘が鳴るなり・・・誰が為に。
これからも、僕のゲームに着いてきて下さい。
ゲームって言い方はおかしいな。
でもこうやって出会えたこと、出会えている方々とは、これも全てがご縁で、そしてこれからも楽しんで進んでいきましょう。
誰も見たことのないものを、傲慢にも、僕は必死にみなさんに届けていきたいと強く思います。
厳しい目で、そして楽しみにいつも見守っていてください!!
銀 ゲンタ
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